名にし負はば常はゆるぎの森にしも
いかでかさぎのいはやすくぬる
- 歌の意味
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その名のとおりなら、いつも揺らいでいるはずのゆるぎの森で、どうして鷺は安らかに眠ることができるのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十八 雑歌下 1179
詞書「かさぎのいはや」
物名の歌で、「かさぎのいはや」という語を、四句の「いかでかさぎの」から結句の「いはやすく」にかけて隠して詠み込んでいる。名のとおりなら常に揺らいでいるはずのゆるぎの森で、どうして鷺は安らかに寝るのか、と詠む。ゆるぎの森は鷺の住む森として詠まれる近江国の歌枕で、その「揺るぎ」という名を取り上げ、揺れる森で鷺が安眠できるのをいぶかる、機知に富んだ歌である。「かさぎのいはや」は、山城国の笠置寺の岩屋を言うと解される。
作者の「登蓮法師」は平安時代後期の僧である。俊恵の歌林苑に集った歌人の一人である。
物名の一連の十一首目で、一連の最後の歌である。
初句「名にし負はば」の「し」は強意の副助詞で、「負はば」は名として持っているならば、の意である。『伊勢物語』の都鳥の歌と同じ言い回しである。
二句「常はゆるぎの」の「ゆるぎ」は、揺らぐ意と、地名のゆるぎの森とを掛けている。
三句「森にしも」の「しも」は強意の助詞で、よりによってその森で、の意である。
四句「いかでかさぎの」の「いかでか」は、どうして、の意で、「か」は疑問の係助詞として結句の「ぬる」で結ぶ。「鷺」は水辺にすむ白い鳥である。「かさぎの」から結句にかけて、物名の「かさぎのいはや」が隠されている。
結句「いはやすくぬる」は「寝は安く寝る」で、安らかに眠る、の意である。「ぬる」は「寝」の連体形で、係り結びの結びとなる。
かさぎのいはや:山城国の笠置寺の岩屋と解される、物名の題として四句から結句にかけて隠されている
ゆるぎ:揺らぐ意と、近江国の歌枕ゆるぎの森とを掛ける
い:眠ること
ぬ:寝る
- 作者
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登蓮
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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稲荷山しるしの杉の年古りて みつのみやしろ神さびにけり
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怪しくも花のあたりに伏せるかな 折らばとがむる人やあるとて