怪しくも花のあたりに伏せるかな
折らばとがむる人やあるとて
- 歌の意味
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我ながら妙なことに、花のそばに横たわっていることだ。枝を折ったら、とがめる人がいるかと思って。
- 鑑賞
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巻第十八 雑歌下 1180
詞書「花のもとに寄り臥して詠み侍りける」
花の木の下に寄って横になり、詠んだ歌である。我ながらおかしなことに花のあたりに伏せっていることだ、折ったらとがめる人がいるだろうかと思って、と詠む。花の枝を折って持ち帰りたいが、とがめる人がいるかもしれないので、折る代わりに花のそばに寝そべって離れずにいる自分の姿を、我ながら妙だと戯れたところに、誹諧歌らしい滑稽さがある。
作者の「道命法師」は藤原道綱の子である。天台宗の僧で、読経の美声で知られ、中古三十六歌仙の一人に数えられる。
本歌から巻末の第千二百一首までは誹諧歌が並ぶ。誹諧歌は、滑稽や機知、俗な言葉や趣向を取り入れた戯れの歌で、本歌はその一首目である。一連はまず季節の歌が、春の花から卯の花、菖蒲、照射、虫、萩、女郎花、月と順を追って並べられている。なお本文の四句は「折らばとがむる」とあり、読み仮名の行の「をらはとかめむ」と一致しない。ここでは本文の表記に従う。
初句「怪しくも」は、不思議にも、妙なことに、の意で、我ながらおかしいと思う心を表す。
二句「花のあたりに」は、花のそばに、の意である。
三句「伏せるかな」の「伏せる」は横になっている、の意で、「る」は存続の助動詞「り」の連体形、「かな」は詠嘆の終助詞である。ここで句切れとなる。
四句「折らばとがむる」の「折らば」は、もし折ったならば、の意で、「とがむる」は咎める、非難する、の意の連体形である。
結句「人やあるとて」の「や」は疑問の係助詞で、連体形の「ある」で結ぶ。「とて」は、と思って、の意で、四句とともに倒置によって三句の理由を示している。
とがむ:非難する、咎める
ふす:横になる、寝る
はいかいか:滑稽や機知を主とする戯れの歌、勅撰集の部立の一つ
- 作者
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道命
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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名にし負はば常はゆるぎの森にしも いかでかさぎのいはやすくぬる
- 次の歌
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卯の花よいでことごとしかけ島の 波もさこそは岩を越えしか