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暮れの秋ことにさやけき月影は
十夜に余りてみよとなりけり

歌の意味
暮れゆく秋の、ことのほか澄みきった月の光は、十夜に三夜を余した十三夜に、「見よ」と言っているのであった。
鑑賞
巻第十八 雑歌下 1189

詞書「九月十三夜に詠める」
 九月十三夜に詠んだ歌である。暮れの秋の格別に澄んだ月は、十夜に余って三夜、すなわち「見よ」ということであった、と詠む。九月十三夜は八月十五夜と並んで月を賞する夜である。十三夜の数を「十夜に余りて三夜」と言い、その「三夜」に「見よ」を掛けて、この夜の月こそ見よと言っているのだと興じたところに、誹諧の機知がある。
 作者の「賀茂政平」は賀茂社の神官である。
 誹諧歌の一連の十首目で、晩秋の月を詠み、季節の歌の結びとなる。次歌からは恋の歌へと移る。

 初句「暮れの秋」は、暮れてゆく秋、晩秋の意で、九月を言う。
 二句「ことにさやけき」の「ことに」は格別に、「さやけき」は澄んで明るい、の意である。
 三句「月影は」の「月影」は月の光である。
 四句「十夜に余りて」は、十夜に余って、の意で、結句の「みよ」と合わせて十三夜を言う。
 結句「みよとなりけり」の「みよ」は、三夜の意と、命令形の「見よ」とを掛けている。「けり」は、気づいたことを表す詠嘆の助動詞である。

みよ:三夜の意と、「見よ」とを掛ける
じふさんや:陰暦九月十三日の夜、八月十五夜とともに月を賞する
作者
賀茂政平
出典
千載和歌集
前の歌
落ちにきと語らば語れ女郎花 今宵は花の陰に宿らん
次の歌
板庇さすや茅屋の時雨こそ おとしおとせぬ方は分くなれ