さりともと頼みぞかくる木綿襷
わがかたをかの神と思へば
- 歌の意味
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いくらなんでもと、望みを掛けることだ、木綿襷を肩に掛けるように。わが方を守ってくださる片岡の神だと思うので。
- 鑑賞
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巻第二十 神祇歌 1271
詞書「片岡の祝にて侍りけるを、同じき社の禰宜に渡らんと申しける頃、詠みて書き付け侍りける。その後なん禰宜にまかりなりにけり」
片岡社の祝であった作者が、同じ社の禰宜に移りたいと願い出ていたころに詠んで書きつけた歌である。その後、禰宜になったという。片岡社は賀茂別雷社の摂社である。さりともと頼みを掛ける、木綿襷を掛けるように、わが方の片岡の神と思うので、と詠む。神事に用いる木綿襷を肩に掛けることに、神に望みを掛けることを重ね、長く仕えてきた片岡の神ならばきっと自分の味方をしてくださるだろうと願っている。
作者の「賀茂政平」は賀茂別雷社の神職で、詞書によれば片岡社の祝から禰宜に進んだ。伝記の詳細は明らかでない。
次歌の第千二百七十二首も初句を「さりともと」とし、ともに賀茂の神を頼む心を詠んでいる。前歌の第千二百七十首に続き、官職を願って神に祈り、のちにかなった歌である。
初句「さりともと」は、いくらなんでも、それでもきっと、の意で、望みを捨てない心を表している。次歌の第千二百七十二首の初句「さりともと」と同じ句である。
二句「頼みぞかくる」の「かく」は、望みを掛ける意と、襷を掛ける意とを掛けている。「ぞ」は強意の係助詞で、連体形の「かくる」で結ぶ。ここで句切れとなる。
三句「木綿襷」は木綿で作った襷で、神事に奉仕する者が肩に掛ける。二句の「かく」とともに、四句の「かた」を導いている。
四句「わがかたをかの」の「かた」は、わが「方」すなわち自分の味方の意と、襷を掛ける「肩」とを掛け、社の名の「片岡」に続けている。
結句「神と思へば」の「ば」は確定条件で、神と思うので、の意である。倒置によって二句のわけを示している。
かく:望みを掛ける意と、襷を掛ける意とを掛ける
かたをか:わが「方」と、襷を掛ける「肩」とを掛け、片岡の社の名に続ける
ゆふだすき:木綿で作った襷、神事に奉仕する者が肩に掛ける
はふり:神に仕える神職の一つ、禰宜の下位
ねぎ:神職の一つ、神主の下で祭祀に携わる
- 作者
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賀茂政平
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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今までになど沈むらん貴船川 かばかり早き神を頼むを
- 次の歌
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さりともと頼む心は神さびて 久しくなりぬ賀茂の瑞垣