板庇さすや茅屋の時雨こそ
おとしおとせぬ方は分くなれ
- 歌の意味
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板の庇を差し掛けた茅葺きの家に降る時雨こそ、音を立てる所と立てない所とを分けるものらしい。
- 鑑賞
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巻第十八 雑歌下 1190
詞書「隔我問他恋といへる心を詠める」
「我を隔てて他を問ふ恋」、すなわち、自分を分け隔てして、ほかの人のもとを訪れる恋人を恨む、という題の心を詠んだ歌である。板庇を差した茅屋に降る時雨こそ、音のする方としない方とを分けるものだ、と詠む。板の庇に当たる時雨は音を立て、茅葺きの屋根に当たる時雨は音を立てない、その違いに、ほかの人のもとには訪れながら自分のもとには訪れない恋人のつれなさを重ねている。
作者の「顕昭法師」は左京大夫藤原顕輔の猶子である。六条家の歌学者として知られた。
誹諧歌の一連の十一首目で、ここから恋の歌となる。
初句「板庇」は板で葺いた庇で、時雨が当たって音を立てる所である。
二句「さすや茅屋の」の「さす」は庇を差し掛ける意で、「や」は間投助詞、「茅屋」は茅で屋根を葺いた粗末な家である。
三句「時雨こそ」の「こそ」は強意の係助詞で、結句の已然形「なれ」で結ぶ。
四句「おとしおとせぬ」は、音を立てるのと立てないのと、の意で、「おとす」に人が訪れる意を掛けている。
結句「方は分くなれ」の「分く」は区別する意で、「なれ」は推定の助動詞「なり」の已然形として係り結びの結びとなる。
いたびさし:板で葺いた庇
かやや:茅で屋根を葺いた家
おとす:音を立てる意と、人が訪れる意とを掛ける
- 作者
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顕昭
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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暮れの秋ことにさやけき月影は 十夜に余りてみよとなりけり
- 次の歌
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笛竹のあなあさましのよの中や ありしやふしの限りなるらん