古りにける松もの言はば問ひてまし
昔もかくや住の江の月
- 歌の意味
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年を経て古びた松がもし口をきくなら、尋ねてみたいものだ。昔もこのようであったのか、住の江の月は、と。
- 鑑賞
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巻第二十 神祇歌 1264
詞書「同じ歌合に、社頭月といへる心を詠み侍りける」
同じ住吉社の歌合で、社頭の月という題の心を詠んだ歌である。古びた松がものを言うなら問うてみたい、昔もこのようであったか住の江の月は、と詠む。住吉の社頭を照らす月の美しさに感じ入り、長い歳月を見てきた松に昔の月を問いかけようとする趣向で、神域に澄みわたる月と悠久の時の流れとを詠んでいる。
作者の「右大臣」は藤原実定である。本集の成立当時、右大臣であった。右大臣藤原公能の子で、のちに左大臣に至り、後徳大寺左大臣と呼ばれた。藤原俊成の甥にあたる。
前歌の第千二百六十三首の「古りぬる」を初句「古りにける」で受けている。次歌の第千二百六十五首は同じ歌合の社頭月の歌で、ともに住吉の松と月を詠む。本巻の第千二百八十首も社頭月の題で石清水の月を詠んでいる。
初句「古りにける」の「に」は完了、「ける」は過去の助動詞「けり」の連体形で、年を経て古びた、の意である。前歌の第千二百六十三首の二句「古りぬる身をも」と照らし合う。
二句「松もの言はば」は、松がものを言うならば、の意で、松を人に見立てている。
三句「問ひてまし」の「まし」は反実仮想の助動詞で、問うてみたいものだ、の意である。ここで句切れとなる。
四句「昔もかくや」の「かく」はこのように、「や」は疑問の係助詞で、昔もこのようであったか、の意である。結びは省略されている。
結句「住の江の月」は住吉の浜辺の月で、体言止めとなっている。次歌の第千二百六十五首の四句「月冴えぬれば」と月を共有する。
すみのえ:摂津国住吉の浜辺、住吉の古名
しやとう:神社のほとり
- 作者
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藤原実定
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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いたづらに古りぬる身をも住吉の 松はさりともあはれ知るらん
- 次の歌
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住吉の松の行き合ひの隙よりも 月冴えぬれば霜は置きけり