古典和歌stream

伊勢物語

ながからぬ命のほどに忘るるは
いかに短き心なるらむ

長くもない一生の間に忘れてしまうとは、なんと短い心なのだろう。

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伊勢物語

翁さび人なとがめそ狩衣
けふばかりとぞ鶴も鳴くなる

私が老人じみているのを、とがないでくれ。狩衣を着飾ってお供をするのは今日かぎりだと鶴も鳴いている。

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伊勢物語

おきのゐて身をやくよりもかなしきは
みやこしまべの別れなりけり

赤く焼けた炭が身について体をやくのは辛いけれど、それよりも悲しいのは都島のあたりで帰って行くあなたと別れることだ。

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伊勢物語

浪間より見ゆる小島のはまびさし
久しくなりぬ君にあひ見で

波間から見える小島の浜辺に漁師の家の廂(ひさし)が見える。あなたに会わないで久しく時がたってしまった。

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伊勢物語

我見ても久しくなりぬ住吉の
岸の姫松いくよへぬらむ

私が見ても長い年月がたった。この住吉の海岸の美しい松はどのくらいの年代を経てきたのであろう。

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伊勢物語

むつましと君は白浪瑞垣の
久しき世よりいはひそめてき

あなたに対して親しい気持ちを持っていると、あなたは知らないだろうがこの海岸に白浪が寄せ神社に垣根がめぐらされた遠い昔から、みかどの御世を祝福しはじめていた。

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伊勢物語

玉かづらはふ木あまたになりぬれば
絶えぬ心のうれしげもなし

つる草は多くの木にはいまつわるが、かづらのように通う女のところが多くなっているので、私のことを絶えず気にかけてくれる気持ちを聞いても一向に嬉しくない。

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伊勢物語

形見こそ今はあたなれこれなくは
忘るる時もあらましものを

男が残していった形見こそ今は恨めしいものです。これさえ無ければあの男を忘れる時もあるだろうに。

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伊勢物語

近江なる筑摩の祭とくせなむ
つれなき人の鍋の数見む

近江(おうみ)の国の筑摩(つくま)神社の祭を早くやってほしい。情の無いあの人が鍋をいくつかぶってお参りするのか見たい。

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伊勢物語

鶯の花をぬふてふ笠もがな
ぬるめる人にきせてかへさむ

鶯(うぐいす)が梅の花を縫って作るという梅の花笠がほしいものだ。濡れている様子のあなたに花笠をかぶらせて帰らせたい。

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伊勢物語

鶯の花をぬふてぬ笠はいな
おもひをつけよほしてかへさむ

鶯(うぐいす)が花をぬって作るという梅の花笠はいりません。あなたの思いをつけてください。火で濡れた着物を乾かして感謝の思いを返しましょう。

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伊勢物語

山城の井手の玉水手にむすび
たのみしかひもなき世なりけり

山城の国の井手の里のきれいな清水を手ですくい上げて口を清めて約束をしたのに、頼りにしたかいもない二人の仲だった。

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伊勢物語

年を経て住みこし里を出でていなば
いとど深草野とやなりなむ

長年の間、住んできたこの里を出て行ってしまったら、今でさえ草深い深草の里がいっそう荒れた野となってしまうだろうか。

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伊勢物語

野とならば鶉となりて鳴きをらむ
かりにだにやは君は来ざらむ

荒れ果てた草深い野となるなら私は悲しい顔をして鶉(うずら)になって鳴いているでしょう。そうすればあなたは狩りにだけでも来てくださるでしょうか。

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伊勢物語

思ふこといはでぞただにやみぬべき
我とひとしき人しなければ

心に思っている事は言わずにそのままにしておこう。私と同じ気持ち人はいないのだから

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伊勢物語

つひにゆく道とはかねてききしかど
昨日今日とは思はざりしを

死ぬというのは人間最後には行く道と前々から聞いていたが、それはずっと先のことで昨日、今日というさしせまったこととは思わなかった。

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