古典和歌stream

伊勢物語

そむくとて雲にはのらぬものなれど
世のうきことぞよそになるてふ

世を背いて出家すると言っても雲に乗って飛び立ってしまうものではないけれど、世間のいやなことからは遠くなると言う。

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伊勢物語

ねぬる夜の夢をはかなめまどろめば
いやはかなにもなりまさるかな

あなたと寝た夜の夢がむなしく消えていくので、帰って来てからうとうと眠ると、いよいよ儚い夢心地になる。

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伊勢物語

世をうみのあまとし人をみるからに
めくはせよともたのまるるかな

海で海女として暮らしている人だとお見うけするので、お目にかかると海藻を食べさせてもらいたいと心まちにしてしまう。

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伊勢物語

白露は消なば消ななむ消えずとて
玉にぬくべき人もあらじ

消えてしまいそうな白露は、消えてしまうならば消えてしまってほしい。消えなかったとしても飾りの玉として紐を通す人もいないでしょう。

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伊勢物語

ちはやぶる神代もきかず竜田河
からくれなゐに水くくるとは

神代にも聞いた事がない、この竜田河で舶来の紅色に水をくくり染めにするとは。

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伊勢物語

つれづれのながめにまさる涙河
袖のみひぢて逢ふよしもなし

あなたのことを考えながら物寂しく思い耽って眺めていると、長雨をしのぐほど涙が河となって流れる。袖がぬれるばかりで、あなたに逢うすべもない。

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伊勢物語

あさみこそ袖はひづらめ涙河
身さへながると聞かばたのまむ

浅い思いだからこそ袖が濡れる程度の涙河なのでしょう。御身まで涙に流れる真情を聞いたなら、その恋の情をたのみにしましょう。

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伊勢物語

かずかずに思ひ思はずとひがたみ
身をしる雨はふりぞまされる

いろいろとあなたが私のことを思っているのか思っていないのかお尋ねできないので、私の幸不幸を知る雨がひどく降っています。

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伊勢物語

風吹けばとはに浪こす岩なれや
わが衣手のかわく時なき

風が吹くので、いつまでも浪に越えられる岩なのでしょうか。私の袖はいつも涙に濡れて乾くときがありません。

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伊勢物語

宵ごとにかはづのあまたなく田には
水こそまされ雨は降らねど

毎夜、蛙(かわず)がたくさん鳴く田には雨は降らなくても蛙の涙で水が増える。

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伊勢物語

花よりも人こそあだになりにけれ
いづれをさきに恋ひむとか見し

花よりも先に人がはかなくなってしまった。花と人、どちらを先に失って恋しいと追慕すると見ただろうか。

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伊勢物語

思ひあまり出でにし魂のあるならむ
夜ふかく見えば魂むすびせよ

私があなたを思うあまり、私の体をぬけ出してあなたの所へ行った魂があるのだろう。深夜の夢に見えたなら私の魂を結びとめるおまじないをして下さい。

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伊勢物語

いにしへはありもやしけむ今ぞ知る
まだ見ぬ人を恋ふるものとは

昔はあったかもしれないが、私は今はじめて知った。まだ会ったこともない人を恋しく思うことがあることを

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伊勢物語

下紐のしるしとするも解けなくに
かたるがごとは恋ひずぞあるべき

人から恋をされると下袴の紐がとけると言うが私の下紐は解けないから、あなたは自分が語るような恋はしていないにちがいない。

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伊勢物語

恋しとはさらにもいはじ下紐の
解けむを人はそれと知らなむ

あなたが恋しいとは、けっして言うまい。あなたの下紐が解けることで私のあなたへの気持ちを知ってもらいたい。

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伊勢物語

須磨のあまの塩焼く煙風をいたみ
思はぬ方へたなびきにけり

須磨の海岸の海人が塩を焼く煙は風がひどく吹くので思いもしない方向へたなびいてしまった。

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