白雲の上知る今日ぞ春雨の
ふるにかひある身とは知りぬる
- 歌の意味
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白雲の上のような御前を知った今日こそ、春雨が降るように月日を経てきたことにも甲斐のある身だと知ったことだ。
- 鑑賞
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巻第一 春歌上 4
詞書「ある人のもとに新参りの女の侍りけるが、月日久しく経て、睦月の朔日ごろ前許されたりけるに、雨の降るを見て」
長く待ったすえに主人の御前に出ることを許された喜びを、降る春雨に託して詠んだ歌である。月日を経てきた辛抱がようやく報われたという、安堵と喜びが込められている。
詞書によれば、ある人の家に新しく仕えた女が、長い月日を経て正月の初めごろに御前に出ることを許され、そのとき雨の降るのを見て詠んだものである。詞書からは、その新参りの女自身の詠と読める。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「白雲の」は、空高くにある白雲を示し、次の「上」とともに高貴な所を表している。
二句「上知る今日ぞ」は、白雲の上、すなわち主人の御前に出ることを許された今日を表す。「ぞ」は係助詞で、結句の連体形「ぬる」と係り結びをなす。
三句「春雨の」は、正月の初めに降る雨を示し、次の「ふる」を導いている。春雨は本巻の第三十二首や第四十首などにも詠まれている。
四句「ふるにかひある」の「ふる」は、雨が「降る」意と、月日を「経る」意を掛けた掛詞である。長く待った月日に甲斐があったことを表す。
結句「身とは知りぬる」は、二句の「ぞ」を受けて連体形「ぬる」で結ぶ。我が身の幸いを改めて悟った感慨である。
ふる:雨が降る意と、月日を経る意を掛ける
しらくものうへ:白雲の上、ここでは高貴な主人の御前をいう
にひまゐり:新しく出仕した者
まへゆるす:主人の御前に出ることを許す
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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今日よりは荻の焼原かき分けて 若菜摘みにと誰を誘はん
- 次の歌
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松も引き若菜も摘まずなりぬるを いつしか桜はやも咲かなむ