- 歌の意味
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春霞がたなびいている。月に生えるという桂の木も、今ごろ花を咲かせているのだろうか。
- 鑑賞
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巻第一 春歌上 18
詞書「延喜御時、歌召しけるにたてまつりける」
春霞がたなびくのを見て、霞にかすむ月の中の桂の木も花を咲かせているのだろうかと、想像を天上へ広げた歌である。地上の春から月の世界の春へと視線を移す、雄大で優美な発想が特徴である。
詞書によれば、醍醐天皇の延喜年間に、天皇の求めに応じて献上した歌である。
作者の紀貫之は紀望行の子で、古今和歌集の撰者の中心となり、仮名序を書いた。土佐守を務め、土佐日記の作者としても知られる。三十六歌仙の一人である。
初句「春霞」は、春の訪れを告げる霞を示す。
二句「たなびきにけり」の「けり」は詠嘆で、霞が一面にたなびいたことに気づいた感慨を表す。ここで句切れとなる。
三句「久方の」は、「月」にかかる枕詞である。
四句「月の桂も」は、中国の伝説で月に生えるとされる桂の木を示す。地上の木々だけでなく月の桂も、という広がりを「も」が表している。
結句「花や咲くらむ」の「や」は疑問の係助詞で、連体形「らむ」と係り結びをなす。「らむ」は現在推量で、今ごろ花を咲かせているだろうかと思いやっている。
つきのかつら:中国の伝説で月に生えるとされる桂の木
たなびく:霞や雲が横に長く引く
- 作者
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紀貫之
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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宿近く移して植ゑしかひもなく 待ち遠にのみにほふ花かな
- 次の歌
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いづことも春の光は分かなくに まだみ吉野の山は雪降る