春深くなりぬと思ふを桜花
散る木のもとはまだ雪ぞ降る
- 歌の意味
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春も深くなったと思うのに、桜の花の散る木の下では、まだ雪が降っている。
- 鑑賞
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巻第一 春歌 63
詞書「北の宮の裳着の屏風に」
春も深まったと思うのに、桜の散る木の下では、散る花びらがまるで雪のように降っていると詠む。散る花を雪に見立てる趣向で、晩春の木の下に冬の景を重ねている。詞書によれば、北の宮と呼ばれた皇女の裳着の祝いの屏風に添えた歌である。
作者の「つらゆき」は紀貫之である。古今和歌集の撰者の中心となり、仮名序を書いた。土佐日記の作者としても知られ、三十六歌仙の一人に数えられる。
初句「春深く」は、春も深まったことを示す。
二句「なりぬと思ふを」は、「を」が逆接を表し、なったと思うのに、の意である。
三句「桜花」は、散るものとして示される。
四句「散る木のもとは」は、桜の散る木の下を示す。
結句「まだ雪ぞ降る」は、「ぞ」の係り結びで連体形「降る」で結ぶ。散る花を雪に見立て、本巻の第八首、第十二首など冒頭の雪と花の歌と呼応する。
もぎ:女子が成人して初めて裳を着ける儀式
このもと:木の下
- 作者
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紀貫之
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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浅茅原主なき宿の桜花 心やすくや風に散るらん
- 次の歌
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桜散る木の下風は寒からで 空に知られぬ雪ぞ降りける