簗見れば川風いたく吹く時ぞ
波の花さへ落ちまさりける
- 歌の意味
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簗を見ると、川風が激しく吹く時には、散る花ばかりでなく、波の花までも、いっそう多く落ちかかることだ。
- 鑑賞
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巻第十六 雑春歌 1061
詞書「延喜御時御屏風に」
簗を見ると、川風が激しく吹く時には、散る花ばかりか波の花までもいっそう多く落ちかかると詠む歌である。詞書から、醍醐天皇の時代の屏風の絵に添えた歌とわかる。川に仕掛けた簗に、風に散る桜の花と、白く砕ける波の花とがともに落ちかかる情景を描いている。前歌の第千六十首に続き、白波を花に見立てる歌である。
作者の紀貫之は、古今和歌集の撰者の中心人物で、仮名序を執筆し、土佐日記を著した。三十六歌仙に数えられる。
初句「簗見れば」は、簗を見ると、の意である。
二句「川風いたく」は、川風が激しく、の意である。
三句「吹く時ぞ」は、吹く時には、の意で、係助詞「ぞ」は結句の連体形「ける」で結ぶ係り結びである。
四句「波の花さへ」は、波の花までも、の意で、「さへ」は、散る桜の花に加えて、の意を添える。前歌の第千六十首の四句「波の花をも」と、「波の花」の語を共有している。
結句「落ちまさりける」は、いっそう多く落ちかかることだ、の意で、「ける」は詠嘆を表す。
やな:簗。川に杭を打ち並べて魚を捕らえる仕掛け
- 作者
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紀貫之
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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浦人は霞を網に結べばや 波の花をもとめて引くらん
- 次の歌
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木の間より散り来る花を梓弓 えやはとどめぬ春の形見に