行き帰り折りてかざさむ朝な朝な
鹿立ちならす野辺の秋萩
- 歌の意味
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行き帰りに折って髪に挿そう。毎朝鹿が来て踏みならしている、野辺の秋萩を。
- 鑑賞
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巻第六 秋歌中 298
詞書「秋の歌とてよめる」
野辺を行き来するたびに、毎朝鹿が来て踏みならしている秋萩を折って、髪に挿そうと詠んだ歌である。鹿の通う野辺に咲く萩の風情を愛でている。
詞書によれば、秋の歌として詠んだものである。本巻の第二百九十八首から第三百首までは、詞書「秋の歌とてよめる」のもとに秋萩の歌が三首並んでいる。
作者の「つらゆき」は紀貫之である。紀望行の子で、古今和歌集の撰者の中心となり、仮名序を書いた。土佐守などを務め、土佐日記の作者としても知られる。三十六歌仙の一人である。
初句「行き帰り」は、行き来するたびに、の意である。
二句「折りてかざさむ」の「かざす」は、花や枝を髪に挿す意で、「む」は意志の助動詞である。折って髪に挿そう、の意で、ここで句切れとなる。
三句「朝な朝な」は、毎朝、の意で、字余りである。
四句「鹿立ちならす」は、鹿が来て踏みならす、の意である。本巻の第三百六首も「さを鹿の立ちならす」と同じ語を用い、秋萩を詠んでいる。
結句「野辺の秋萩」は体言止めで、二句と倒置の関係にあり、髪に挿す萩を最後に示している。本巻の第三百十七首も四句に「野辺の秋萩」を置いている。
かざす:花や枝を髪や冠に挿す
たちならす:何度も来て踏みならす
- 作者
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紀貫之
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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時雨降り降りなば人に見せもあへず 散りなば惜しみ折れる秋萩
- 次の歌
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わが宿の庭の秋萩散りぬめり 後見む人やくやしと思はむ