春立ちて我が身ふりぬるながめには
人の心の花も散りけり
- 歌の意味
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春になって、長雨が降り続くなか、年老いた我が身を嘆きながら物思いにふけるうちに、あの人の心の花も散ってしまったことだ。
- 鑑賞
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巻第一 春歌上 21
詞書「人に忘られて侍りけるころ、雨のやまず降りければ」
恋人に忘れられたころ、降り続く春の長雨を眺めながら、我が身の衰えと相手の心変わりを嘆いた歌である。雨に打たれて花が散るように、人の心の花も散ってしまったと詠んでいる。
詞書によれば、人に忘れられていたころ、雨が止まずに降り続いたので詠んだ歌である。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
「ふる」と「ながめ」を掛ける手法は、古今和歌集の小野小町の「花の色はうつりにけりないたづらにわが身世にふるながめせしまに」に通じ、「人の心の花」という表現は同じく小町の「色見えでうつろふものは世の中の人の心の花にぞありける」に見られる。
初句「春立ちて」は、春になって、の意で、新しい季節の始まりと我が身の衰えを対比している。
二句「我が身ふりぬる」の「ふり」は、我が身が「古り」る意と、雨が「降り」る意を掛けた掛詞である。
三句「ながめには」の「ながめ」は、「長雨」と物思いにふける「眺め」を掛けた掛詞である。
四句「人の心の」は、相手の心を花にたとえる表現へと続いていく。
結句「花も散りけり」の「けり」は詠嘆で、雨に花が散るように、あの人の心の花も散ってしまったと気づいた嘆きを表す。
ふる:年老いる意の「古る」と、雨が「降る」を掛ける
ながめ:長く降る雨の「長雨」と、物思いにふける「眺め」を掛ける
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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白玉を包む袖のみ流るるは 春は涙もさえぬなりけり
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我が背子に見せむと思ひし梅の花 それとも見えず雪の降れれば