梅の花折ればこぼれぬ我が袖に
にほひ香移せ家づとにせん
- 歌の意味
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梅の花よ、枝を折ると花びらがこぼれかかった私の袖に、その香りを移しておくれ。家への土産にしよう。
- 鑑賞
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巻第一 春歌上 28
詞書は前の歌に続き「題しらず」
梅の枝を折ると花がこぼれ落ちた袖に、その香りを移してほしいと梅に呼びかけ、家への土産にしようと詠んだ歌である。花そのものではなく香りを持ち帰ろうとする、風雅な心が表れている。
作者の素性法師は遍昭の子で、出家して雲林院などに住んだ。宇多天皇や醍醐天皇の時代に歌人として活躍した。三十六歌仙の一人である。
初句「梅の花」は呼びかけで、香を移す相手として梅に語りかけている。
二句「折ればこぼれぬ」は、枝を折ると花がこぼれ落ちた、の意で、「ぬ」は完了を表す。
三句「我が袖に」は、花がこぼれかかった袖を示す。
四句「にほひ香移せ」は命令形で、梅に香りを移せと呼びかけている。前歌の第二十七首が妻をはばかって香が染みるのを避けたのに対し、本歌は進んで香を袖に移そうとしており、対照をなしている。ここで句切れとなる。
結句「家づとにせん」の「家づと」は家への土産の意で、「ん」は意志を表す。
いへづと:家に持ち帰る土産
にほひか:よい香り
- 作者
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素性
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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梅の花よそながら見む我妹子が とがむばかりの香にもこそしめ
- 次の歌
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心もて折るかはあやな梅の花 香をとめてだに訪ふ人のなき