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かきくらし雪は降りつつしかすがに
我が家の園に鴬ぞ鳴く

歌の意味
空一面を暗くして雪は降り続いているが、それでもやはり、我が家の庭では鴬が鳴いている。
鑑賞
巻第一 春歌上 33

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 空を暗くして雪が降り続くなかにも、我が家の庭では鴬が鳴いていると、冬の名残と春の訪れを同時にとらえた歌である。雪と鴬という冬と春の景物を対比させ、季節の移り変わりを印象的に描いている。
 作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
 万葉集巻八には、大伴家持の歌として「うちきらし雪は降りつつしかすがに我家の苑に鴬鳴くも」があり、本歌はこれとよく似た形である。

 初句「かきくらし」は、空一面を暗くして、の意で、雪の降りしきるさまを表す。
 二句「雪は降りつつ」の「つつ」は継続を表し、雪が降り続いていることを示す。雪の中の春という趣向は、本巻の第一首や第二首とも通じている。
 三句「しかすがに」は、そうはいうものの、それでもやはり、の意で、上の句と下の句を逆接でつないでいる。
 四句「我が家の園に」は、我が家の庭を示す。
 結句「鴬ぞ鳴く」の「ぞ」は係助詞で、連体形「鳴く」と係り結びをなす。ここから本巻の第三十六首まで鴬の歌が続いていく。

かきくらす:空を一面に暗くする
その:庭、草木を植えた所
作者
よみ人しらず
出典
後撰和歌集
前の歌
春雨の降らば野山にまじりなむ 梅の花笠ありといふなり
次の歌
谷寒みいまだ巣立たぬ鴬の 鳴く声若み人のすさめぬ