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梅の花散るてふなへに春雨の
ふりでつつ鳴く鴬の声

歌の意味
梅の花が散るというのにあわせて、春雨が降るなか、声を振りしぼって鳴き続ける鴬の声よ。
鑑賞
巻第一 春歌上 40

詞書「春の日、事のついでありてよめる」
 梅の花が散るのにあわせて春雨が降り、そのなかで鴬が声を振りしぼって鳴き続けていると詠んだ歌である。散る梅を惜しむかのように鳴く鴬の声に、過ぎゆく春の情趣を感じ取っている。
 詞書によれば、春の日に何かの折があって詠んだ歌である。
 作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。

 初句「梅の花」は、散りゆく梅を示す。
 二句「散るてふなへに」の「てふ」は「といふ」のつまった形で、「なへに」は、〜とともに、〜につれて、の意である。
 三句「春雨の」は、梅を散らす春雨を示し、次の「ふり」を導いている。春雨は本巻の第四首や第三十二首、第三十九首にも詠まれている。
 四句「ふりでつつ鳴く」の「ふりで」は、雨が「降り」の意と、声を「振り出で」る意を掛けた掛詞である。「つつ」は反復と継続を表す。
 結句「鴬の声」は体言止めで、梅と春雨と鴬の声が一つに溶け合う情景を余韻として残している。

なへに:〜とともに、〜につれて
ふりいづ:声を振りしぼって出す意と、雨が降る意を掛ける
作者
よみ人しらず
出典
後撰和歌集
前の歌
春雨にいかにぞ梅やにほふらん 我が見る枝は色も変はらず
次の歌
妹が家のはひ入りに立てる青柳に 今や鳴くらん鴬の声