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山守はいはばいはなむ高砂の
尾上の桜折りてかざさむ

歌の意味
山の番人は、とがめるなら言いたいだけ言えばよい。高い峰の上の桜を折って、髪に挿そう。
鑑賞
巻第二 春歌中 50

詞書「花山にて道俗酒らたうべける折に」
 花見の宴で、山守がとがめるなら言わせておけばよいと、峰の桜を折って髪に挿そうと詠んだ歌である。山守の制止も気にかけない大胆な言いぶりに、花に興じる宴の高揚した気分がよく表れている。
 詞書によれば、花山で僧と俗人が集まって酒を飲んだ折に詠まれたものである。花山は山城国の元慶寺のあたりで、作者の父遍昭が開いた寺のある地である。
 作者の素性法師は遍昭の子で、出家して雲林院などに住んだ。宇多天皇や醍醐天皇の時代に歌人として活躍した。三十六歌仙の一人である。

 初句「山守は」は、山の木を守り、勝手に伐ったり折ったりすることを禁じる番人を示す。前歌の遍昭の歌に、その子素性の歌が続けて配されている。
 二句「いはばいはなむ」の「いはば」は仮定、「なむ」は他に対する願望で、言うなら言ってほしい、言わせておけ、の意である。ここで句切れとなる。
 三句「高砂の」は、ここでは地名ではなく、高い山、峰の意である。
 四句「尾上の桜」の「尾上」は峰の上の意で、山の頂近くに咲く桜を示す。
 結句「折りてかざさむ」の「かざす」は花や枝を髪や冠に挿す意で、「む」は意志を表す。巻第一の第四十五首も同じ「折りてかざさむ」で結ばれ、宴の席で花をかざす趣向が共通している。

やまもり:山の番人
たかさご:高い山、峰
をのへ:峰の上、山の頂
かざす:花や枝を髪や冠に挿す
だうぞく:僧と俗人
たうぶ:飲む、食べる
作者
素性
出典
後撰和歌集
前の歌
石上ふるの山辺の桜花 植ゑけむ時を知る人ぞなき
次の歌
桜花色は等しき枝なれど 形見に見れば慰まなくに