吹く風をならしの山の桜花
のどけくぞ見る散らじと思へば
- 歌の意味
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吹く風を馴らすという名のならしの山の桜の花は、ゆったりとした心で眺めることだ。風に散ることはあるまいと思うので。
- 鑑賞
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巻第二 春歌中 53
詞書「桜の花をよめる」
「ならしの山」という山の名に、吹く風を「馴らす」意を読み取り、風を手なずける山の桜ならば散ることはあるまいと、安心して花を眺める歌である。地名に込められた意味を機知的に生かし、花を惜しむ不安から解き放たれた心を詠んでいる。
詞書によれば、桜の花を題として詠んだ歌である。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「吹く風を」は、花を散らす風を示し、次の「ならし」へとつないでいる。
二句「ならしの山の」の「ならし」は、風を手なずける意の「馴らし」と、山の名の「ならしの山」を掛けた掛詞である。ならしの山の所在については諸説がある。
三句「桜花」は、ならしの山に咲く桜を示す。
四句「のどけくぞ見る」の「のどけく」は、のどかに、落ち着いて、の意で、「ぞ」は係助詞として連体形「見る」と係り結びをなす。ここで句切れとなる。
結句「散らじと思へば」の「じ」は打消推量で、散ることはあるまいと思うので、と理由を示す倒置である。次歌の第五十四首がひと夜のうちに散るのを恐れているのと対をなしている。
ならし:風を手なずける意の「馴らし」と、山の名の「ならしの山」を掛ける
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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見ぬ人の形見がてらは折らざりき 身になずらへる花にしあらねば
- 次の歌
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桜花今日よく見てむ呉竹の ひとよのほどに散りもこそすれ