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五月雨は寝こそ寝られね郭公
夜深く鳴かむ声を待つとて

歌の意味
五月雨の頃は眠ろうにも眠られない。ほととぎすが夜更けに鳴くであろう声を待つというので。
鑑賞
巻第二 夏歌 118

詞書「題しらず」
 五月雨の降る夜は、ほととぎすが夜更けに鳴く声を待っているので、眠ることもできないと詠む歌である。降り続く雨の夜長に、ひたすら声を待ち続ける心を表している。

 初句「五月雨は」は、五月雨の降る頃は、の意で、前歌の「この五月雨に」を受けて五月雨の歌が続く。
 二句「寝こそ寝られね」は、眠ろうにも眠られない、の意で、「こそ」は係助詞であり、打消の助動詞「ず」の已然形「ね」で結ぶ係り結びとなる。ここで句切れとなり、下の句とは倒置の関係になる。
 三句「郭公」は、夜更けに鳴くことを待たれるほととぎすをいう。
 四句「夜深く鳴かむ」は、夜更けに鳴くであろう、の意で、「む」は推量の助動詞である。本巻の第九十六首、第百五首の「夜深く」と同じく、夜更けのほととぎすを詠む。
 結句「声を待つとて」は、声を待つというので、の意で、倒置によって眠れない理由を後から示す。次歌以下では、眠れぬ夜のほととぎすの声を厭う歌へと転じていく。

い:眠ること。睡眠。「いを寝」の形で用いる
作者
よみ人しらず
出典
拾遺和歌集
前の歌
鳴けや鳴け高田の山の郭公 この五月雨に声な惜しみそ
次の歌
うたて人思はむものをほととぎす 夜しもなどか我が宿に鳴く