- 歌の意味
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一年のうちに重ねて春がめぐってくるのであればこそ、もう一度花を見ようとあてにもしよう。
- 鑑賞
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巻第三 春歌下 97
詞書「題しらず」
一年に春が二度めぐってくるのならば、また花を見ようと期待もできるが、そうではないのだから、今の花が惜しいと詠んだ歌である。ありえない仮定を示すことで、一度きりの花を惜しむ思いを強めている。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。原文の作者表記は「よみ人も」とあるが、ここでは「よみ人しらず」として扱う。
なお本文の四句は「ふたたひ花を」とあり、読み仮名の行の「ふたたひはなも」と一致しない。ここでは本文の表記に従う。
初句「一年に」は、一年のうちに、の意である。本巻の第百九首も同じ「一年に」で始まり、「二度」の語も共有して、一年に一度しか咲かない花を詠んでいる。
二句「重なる春の」は、春が重ねてめぐってくることを表す。本巻の第百三十五首は、閏三月があって春が長い年を詠んでおり、春の長さをめぐる趣向として響き合っている。
三句「あらばこそ」の「ば」は仮定で、「こそ」は係助詞として結句の已然形「め」と係り結びをなす。
四句「二度花を」は、もう一度花を、の意である。
結句「見むと頼まめ」の「め」は推量の助動詞「む」の已然形で、見ようとあてにもしよう、の意を表す。実際にはそうはいかないという思いが裏に込められている。
たのむ:あてにする、期待する
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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かざせども老いも隠れぬこの春ぞ 花の面は伏せつべらなる
- 次の歌
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春来れば咲くてふことを濡れ衣に 着するばかりの花にぞありける