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春日さす藤のうら葉のうらとけて
君し思はば我も頼まん

歌の意味
春の日が差して藤の枝先の葉がほどけるように、心もうちとけて、あなたが本当に思ってくださるのなら、私もあなたを頼みにしよう。
鑑賞
巻第三 春歌下 100

詞書「男のもとより頼めおこせて侍りければ」
 男が将来をあてにさせるような言葉を言ってきたのに対し、あなたが本当に心を許して思ってくれるなら、私も頼みにしようと答えた歌である。春の日に藤の若葉がほどける景を序とし、慎重さを残しながら相手の心を確かめている。
 詞書によれば、男のもとから、頼みに思わせるような言葉を言ってよこしたので詠んだものである。
 作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。

 初句「春日さす」は、春の日の光が差す、の意である。
 二句「藤のうら葉の」の「うら葉」は木の枝の先の葉で、初句からここまでが、同音の「うら」を導く序詞となっている。本巻ではここから藤が詠まれ始め、第百二十首、第百二十四首から第百三十首、第百三十九首にも藤の歌が配されている。
 三句「うらとけて」の「うら」は心の意で、心がうちとけて、の意である。春の日を受けて若葉が開くさまを、心のほどけるさまに重ねている。
 四句「君し思はば」の「し」は強意、「ば」は仮定で、あなたが本当に思ってくれるなら、の意である。
 結句「我も頼まん」の「ん」は意志で、詞書の「頼め」を受け、「頼む」の語で答えている。

うらば:木の枝の先の方の葉
うら:心
たのむ:四段活用では頼りにする意、下二段活用では頼りに思わせる意
作者
よみ人しらず
出典
後撰和歌集
前の歌
春霞たちながら見し花ゆゑに ふみとめてけるあとの悔しさ
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鴬に身をあひかへば散るまでも 我が物にして花は見てまし