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あたら夜の月と花とを同じくは
あはれ知れらん人に見せばや

歌の意味
明けてしまうのが惜しいこの夜の月と花とを、同じことなら、もののあわれを知っているような人に見せたいものだ。
鑑賞
巻第三 春歌下 103

詞書「月のおもしろかりける夜、花を見て」
 月が美しく照る夜に花を見て、明けるのが惜しいこの夜の月と花とを、どうせなら情趣を解する人に見せたいと詠んだ歌である。月と花という最上の取り合わせを、心通う人とともに味わいたいという思いがこもっている。
 詞書によれば、月の美しい夜に花を見て詠んだものである。
 作者の「源さねあきら」は源信明である。源公忠の子で、陸奥守などを務めた。中務と恋の贈答を交わしたことでも知られ、三十六歌仙の一人である。
 なお本文の四句は「あはれしれらん」とあり、読み仮名の行の「こころしれらむ」と一致しない。ここでは本文の表記に従う。

 初句「あたら夜の」の「あたら」は、惜しい、もったいない、の意で、明けてしまうのが惜しい夜を示す。
 二句「月と花とを」は、月と桜の取り合わせを示し、どちらも盛りにある夜の美しさを表している。
 三句「同じくは」は、同じことなら、どうせなら、の意である。
 四句「あはれ知れらん」の「あはれ知る」は、ものの情趣を解する意である。「ら」は存続の助動詞「り」、「ん」は婉曲の助動詞「む」で、情趣を解しているような、の意を表す。
 結句「人に見せばや」の「ばや」は自己の願望を表し、見せたいものだ、の意である。

あたらよ:明けてしまうのが惜しい夜
作者
源信明
出典
後撰和歌集
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花の色は昔ながらに見し人の 心のみこそうつろひにけれ
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