朝ぼらけ下行く水は浅けれど
深くぞ花の色は見えける
- 歌の意味
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夜明け方、藤の下を流れていく遣水は浅いけれど、その水に映る花の色は深く見えることだ。
- 鑑賞
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巻第三 春歌下 130
詞書は前の歌に続き「琴笛などして遊び、物語などし侍りけるほどに、夜更けにければまかりとまりて」
夜明け方、藤の下を流れる遣水は浅いけれども、花の色は深く見えると詠んだ歌である。浅い水と深い色を対比させ、前日に淵に見立てた遣水が実は浅いと戯れつつ、藤の色の深さをたたえて一連を結んでいる。
第百二十八首から第百三十首までの三首は、前の三首と同じ宴が夜更けまで続き、定方が泊まった翌朝に詠み交わされた一連である。
作者の紀貫之は紀望行の子で、古今和歌集の撰者の中心となり、仮名序を書いた。土佐守などを務め、土佐日記の作者としても知られる。三十六歌仙の一人である。
初句「朝ぼらけ」は夜がほのぼのと明けるころの意で、前の二首と同じく泊まった翌朝であることを示す。
二句「下行く水は」は、藤の花の下を流れる遣水を示す。
三句「浅けれど」の「ど」は逆接である。第百二十五首や第百二十七首で底の知れない淵に見立てた遣水が、実は浅いと戯れている。
四句「深くぞ花の」の「深く」は三句の「浅けれ」と対比されている。「ぞ」は係助詞で、結句の連体形「ける」と係り結びをなす。
結句「色は見えける」の「ける」は気づきの詠嘆で、花の色が深く見えることを表す。藤の宴の歌の一連は、ここで結ばれる。
あさぼらけ:夜がほのぼのと明けるころ
したゆく:下を流れていく
- 作者
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紀貫之
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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一夜のみ寝てし帰らば藤の花 心解けたる色見せんやは
- 次の歌
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鴬の糸に縒るてふ玉柳 吹きな乱りそ春の山風