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時分かず降れる雪かと見るまでに
垣根もたわに咲ける卯の花

歌の意味
季節の区別もなく降った雪かと見えるほどに、垣根もたわむばかりに咲いている卯の花よ。
鑑賞
巻第四 夏歌 153

詞書「卯の花の垣根ある家にて」
 季節に関わりなく降った雪かと見えるほど、垣根もたわむばかりに咲く卯の花を詠んだ歌である。夏に咲く白い卯の花を冬の雪に見立て、その花の豊かさと白さをたたえている。
 詞書によれば、卯の花の垣根のある家で詠んだものである。
 作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。原文の作者表記は「よみ人も」とあるが、ここでは「よみ人しらず」として扱う。
 藤原定家の定家八代抄にも採られている。

 初句「時分かず」は、季節の区別もなく、の意で、夏なのに雪が降ったかのような見立てを導いている。本巻の第百五十五首も同じ「時分かず」で始まり、上の句と結句をほぼ共有している。
 二句「降れる雪かと」の「る」は存続の助動詞「り」の連体形で、降り積もった雪かと、の意である。第百五十五首では「月か雪かと」となり、月の光をも加えている。
 三句「見るまでに」は、見えるほどに、の意で、見立ての程度を示している。
 四句「垣根もたわに」の「たわに」は、たわむほどに、の意で、花の重みで垣根がしなうさまを表す。第百五十五首は「垣根のままに」とし、垣根いっぱいに咲くさまを表している。
 結句「咲ける卯の花」は体言止めで、白く咲き満ちる卯の花に焦点を結んでいる。

ときわかず:季節の区別なく、時を選ばず
作者
よみ人しらず
出典
後撰和歌集
前の歌
憂き物と思ひ知りなば卯の花の 咲ける垣根も尋ねざらまし
次の歌
白妙ににほふ垣根の卯の花の うくも来て訪ふ人のなきかな