白妙ににほふ垣根の卯の花の
うくも来て訪ふ人のなきかな
- 歌の意味
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真っ白に照り映える垣根の卯の花の「う」ではないが、憂くつらいことに、来て訪ねてくれる人がいないことだ。
- 鑑賞
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巻第四 夏歌 154
詞書「友達の訪らひまで来ぬことを恨みつかはすとて」
真っ白に咲く垣根の卯の花の名のように、つらいことに訪ねてくれる人がいないと嘆いた歌である。卯の花の「う」から「憂く」を導き、訪れのない友への恨みを表している。
詞書によれば、友達が見舞いにさえ来ないことを恨んで贈ったものである。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。原文の作者表記は「よみ人も」とあるが、ここでは「よみ人しらず」として扱う。
初句「白妙に」は、真っ白に、の意で、卯の花の白さを表す。本巻の第百五十三首が雪に見立てた白さを、ここでは「白妙」と言い表している。
二句「にほふ垣根の」の「にほふ」は、色が美しく照り映える意で、卯の花の咲く垣根を示す。
三句「卯の花の」までは、「卯」と同音の「憂く」を導く序詞である。本巻の第百五十一首でも、卯の花の「う」が「憂し」に響かされていた。
四句「うくも来て訪ふ」の「うく」は、卯の花の「卯」と、つらい意の「憂く」を掛けた掛詞である。つらいことに、の意で結句へ続く。
結句「人のなきかな」は、訪ねてくれる人がいないことだ、の意で、「かな」は詠嘆を表す。前歌の第百五十三首の家を訪ねる歌に対し、訪れのない嘆きを置いている。
うく:卯の花の「卯」と、つらい意の「憂く」を掛ける
とぶらふ:訪ねる、見舞う
にほふ:色が美しく照り映える
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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時分かず降れる雪かと見るまでに 垣根もたわに咲ける卯の花
- 次の歌
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時分かず月か雪かと見るまでに 垣根のままに咲ける卯の花