- 歌の意味
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木の茂みに隠れて五月を待つとしても、ほととぎすよ、羽を慣らすつもりで枝移りをしておくれ。
- 鑑賞
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巻第四 夏歌 159
詞書「題しらず」
木陰に隠れて五月を待つとしても、羽を慣らすつもりで枝から枝へ移っておくれと、ほととぎすに呼びかけた歌である。五月になるまで本格的に鳴かないほととぎすに、せめて姿や気配だけでも見せてほしいと、待ちきれない思いを表している。
ほととぎすは五月を待って盛んに鳴く鳥とされ、古今和歌集にも五月を待つほととぎすを詠む歌が多い。
作者の伊勢は伊勢守藤原継蔭の娘で、宇多天皇の中宮温子に仕えた。宇多天皇の寵愛を受け、のちに敦慶親王との間に中務をもうけた。三十六歌仙の一人である。
初句「木隠れて」は、木の茂みに隠れて、の意で、まだ姿を見せないほととぎすのさまを示す。
二句「五月待つとも」の「とも」は逆接の仮定で、五月を待つとしても、の意である。ほととぎすが盛んに鳴くのは五月とされていた。
三句「郭公」は、ほととぎすへの呼びかけである。
四句「羽ならはしに」は、羽を慣らすために、の意で、まだ鳴く時ではなくとも稽古のつもりで、という気持ちを込めている。
結句「枝移りせよ」は、枝から枝へ移れ、と命令形で呼びかけている。動く気配だけでも見せてほしいという願いである。
こがくる:木の陰に隠れる
はねならはし:羽を慣らすこと、飛ぶ稽古
えだうつり:枝から枝へ飛び移ること
- 作者
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伊勢
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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有りとのみおとはの山の郭公 聞きに聞こえて逢はずもあるかな
- 次の歌
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言ひそめし昔の宿の杜若 色ばかりこそ形見なりけれ