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郭公暁がたの一声は
憂き世の中を過ぐすなりけり

歌の意味
ほととぎすの明け方のひと声は、つらい世の中をやり過ごしていく、よすがであったのだ。
鑑賞
巻第四 夏歌 197

詞書「題しらず」
 ほととぎすの明け方のひと声は、つらい世の中を過ごしていくよすがであったと詠んだ歌である。夜明け前に聞くほととぎすの一声に、憂き世を生きる慰めを見いだしている。
 作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。原文の作者表記は「よみ人も」とあるが、ここでは「よみ人しらず」として扱う。

 初句「郭公」は、明け方に鳴く鳥として置かれている。本巻の第百九十一首も「郭公」で始まり、「一声」「暁がた」を詠んでいる。
 二句「暁がたの」は、夜明け前の、の意で、本巻の第百七十首、第百九十一首と同じ語を共有している。
 三句「一声は」は、ひと声は、の意で、わずかな声であることを示している。
 四句「憂き世の中を」は、つらい世の中を、の意である。
 結句「過ぐすなりけり」は、過ごしていくものであったのだ、の意で、「けり」は気づきの詠嘆を表す。本巻の第二百十二首の結句「過ぐすのみなり」も「過ぐす」を用いている。

すぐす:過ごす、時を送る
作者
よみ人しらず
出典
後撰和歌集
前の歌
如何せむをぐらの山の郭公 おぼつかなしと音をのみぞ鳴く
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人知れずわがしめし野の常夏は 花咲きぬべき時ぞ来にける