夏の夜の月はほどなく明けぬれば
朝の間をぞかこちよせつる
- 歌の意味
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夏の夜の月は、間もなく夜が明けてしまうので、朝のひとときのせいにして恨んでいることだ。
- 鑑賞
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巻第四 夏歌 206
詞書「題しらず」
夏の夜の月はすぐに明けてしまうので、朝のひとときのせいにして恨んでいると詠んだ歌である。月を見る間もなく明ける短夜の恨めしさを、朝に向けて嘆いている。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。原文の作者表記は「よみ人も」とあるが、ここでは「よみ人しらず」として扱う。
初句「夏の夜の」は、短い夏の夜の、の意である。本巻の第百六十九首から第百七十一首まで、また第百九十一首にも「夏の夜」が詠まれている。
二句「月はほどなく」は、月は間もなく、の意で、月を見る時間の短さを示している。
三句「明けぬれば」の「ぬれ」は完了の助動詞「ぬ」の已然形、「ば」は確定条件で、明けてしまうので、の意である。
四句「朝の間をぞ」は、朝のひとときを、の意で、「ぞ」は強意の係助詞である。
結句「かこちよせつる」の「かこちよす」は、ほかのもののせいにして恨む意で、連体形「つる」が四句の「ぞ」と係り結びをなす。
かこちよす:ほかのもののせいにして恨む、かこつける
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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宵ながら昼にもあらなん夏なれば 待ち暮らす間のほど無かるべく
- 次の歌
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鵲の峰飛び越えて鳴き行けば 夏の夜渡る月ぞ隠るる