別れ路は恋しき人のふみなれや
やらでのみこそ見まくほしけれ
- 歌の意味
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別れの道は恋しい人の手紙なのだろうか。手紙を人に渡さずにずっと見ていたいように、あなたを行かせないでいつまでも見ていたいものだ。
- 鑑賞
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巻第六 別歌 313
詞書は前の歌に続き「題しらず」
別れの道を恋しい人からの手紙になぞらえ、手紙を人に渡さずに手元で見ていたいように、旅立つ人を行かせずにいつまでも見ていたいと詠む歌である。「ふみ」と「やらで」の二つの掛詞を重ねた機知の歌で、引き留めたい思いを表している。
初句「別れ路は」は、別れて行く道は、の意である。
二句「恋しき人の」は、恋しい人の、の意である。
三句「ふみなれや」は、恋しい人の「文」と、道を「踏み」とを掛け、手紙なのだろうか、の意となる。「や」は疑問の係助詞で、ここで句切れとなる。
四句「やらでのみこそ」は、手紙を人に「遣らで」、すなわち渡さないで、の意と、旅立つ人を行かせないで、の意とを掛け、係助詞「こそ」で強めている。前々歌の第三百十一首では扇の風を「やらまほし」と送りたいと詠み、ここでは「やらで」と送らずにいたいと詠んで、送ることをめぐる対をなしている。
結句「見まくほしけれ」は、見ていたいものだ、の意で、「見まく」は「見む」の名詞化した形であり、係助詞「こそ」を受けて已然形「ほしけれ」で結ぶ。
ふみ:手紙の意の文と、道を踏む意とを掛ける
やる:手紙を人に送り渡す意と、人を行かせる意とを掛ける
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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別れては逢はむ逢はじぞ定めなき この夕暮れや限りなるらん
- 次の歌
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別れ行く今日はまどひぬあふさかは 帰り来む日の名にこそありけれ