今宵かくながむる袖の露けきは
月の霜をや秋と見つらん
- 歌の意味
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今夜、こうして月を眺めている私の袖が露に濡れているのは、霜のような月の光を見て、秋になったと思ったからだろうか。
- 鑑賞
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巻第四 夏歌 214
詞書「夏夜、月おもしろく侍りけるに」
今夜月を眺める袖が露に濡れているのは、霜のように白い月の光を見て、秋が来たと思ったからだろうかと詠んだ歌である。夏の夜の月の光を秋の霜に見立て、早くも秋のもの悲しさを感じ取っている。
詞書によれば、夏の夜、月が趣深かった折に詠んだものである。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。原文の作者表記は「よみ人も」とあるが、ここでは「よみ人しらず」として扱う。
初句「今宵かく」は、今夜こうして、の意で、詞書の月のおもしろい夜を示している。
二句「ながむる袖の」は、月を眺めている袖の、の意である。
三句「露けきは」は、露っぽく濡れているのは、の意で、涙に濡れることをも表している。
四句「月の霜をや」は、霜のような月の光を、の意で、白い月光を霜に見立てている。「や」は疑問の係助詞である。
結句「秋と見つらん」は、秋と見たのだろうか、の意で、「らん」は原因を推量する助動詞で、四句の「や」と係り結びをなす。夏の夜に秋を感じ取り、本巻の第二百四首、第二百八首とともに秋の近づきを詠んでいる。
つゆけし:露に濡れている、涙がちである
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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夏虫の身を焚き捨てて玉しあらば 我とまねばむ人目守る身ぞ
- 次の歌
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賀茂河の水底澄みて照る月を 行きて見むとや夏祓へする