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賀茂河の水底澄みて照る月を
行きて見むとや夏祓へする

歌の意味
賀茂川の水底まで澄んで照っている月を、行って見ようというので、人々は夏祓えをするのだろうか。
鑑賞
巻第四 夏歌 215

詞書「六月祓へしに河原にまかり出でて、月の明かきを見て」
 賀茂川の水底まで澄んで照る月を見に行こうとして、人々は夏祓えをするのだろうかと詠んだ歌である。六月の晦日に川辺で行う祓えの行事を、月見のためと興じて言いなし、川面に映る月の清らかさをたたえている。
 詞書によれば、六月の祓えをしに河原に出かけ、月の明るいのを見て詠んだものである。六月の晦日に行う夏越の祓えは、半年のけがれを清める行事である。
 作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。原文の作者表記は「よみ人も」とあるが、ここでは「よみ人しらず」として扱う。

 初句「賀茂河の」は、都を流れる賀茂川を示し、祓えの行われた河原を表している。本巻の第百六十一首の賀茂祭とともに、賀茂の地を詠んでいる。
 二句「水底澄みて」は、水の底まで澄んで、の意で、祓えによって清められる川の清らかさをも表している。
 三句「照る月を」は、水に映って照る月を、の意である。
 四句「行きて見むとや」は、行って見ようというのか、の意で、「や」は疑問の係助詞である。
 結句「夏祓へする」は、夏祓えをする、の意で、連体形「する」が四句の「や」と係り結びをなす。次歌の第二百十六首も禊を詠み、巻末へと続いている。

なつばらへ:陰暦六月の晦日に行う祓え、夏越の祓え
みなそこ:水の底
作者
よみ人しらず
出典
後撰和歌集
前の歌
今宵かくながむる袖の露けきは 月の霜をや秋と見つらん
次の歌
七夕は天の河原を七かへり 後のみそかを禊にはせよ