七夕も逢ふ夜ありけり天の川
この渡りには渡る瀬もなし
- 歌の意味
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織女でさえ逢う夜があるのだ。天の川を年に一度は渡れるのに、私のいるこのあたりには、渡る瀬もない。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 649
詞書は前の歌に続き「題しらず」
七夕の織女でさえ年に一度は逢う夜があるのに、自分のいるこのあたりには渡る瀬もないと詠む歌である。年に一度の逢瀬を待つ星さえうらやみ、それすらかなわない自分の恋を嘆いている。「渡り」と「渡る」を重ね、恋の隔たりを川の隔たりになぞらえている。
初句「七夕も」は、織女も、の意で、「七夕」は織女星をいう。
二句「逢ふ夜ありけり」は、逢う夜があるのだ、の意で、「けり」は気づきの詠嘆を表す。ここで句切れとなる二句切れの歌である。
三句「天の川」は、牽牛と織女を隔てる天の川である。
四句「この渡りには」は、このあたりには、の意で、「渡り」には川の渡し場の意も重なっている。
結句「渡る瀬もなし」は、渡る浅瀬もない、の意で、四句の「渡り」と同じ語を重ねている。「瀬」には逢う機会の意も重なる。
たなばた:七夕。織女星
わたり:辺り。また川の渡し場
せ:瀬。川の浅い所。機会
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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岩の上に生ふる小松も引きつれど なほねがたきは君にぞありける
- 次の歌
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沢にのみ年は経ぬれど葦鶴の 心は雲の上にのみこそ