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七夕は天の河原を七かへり
後のみそかを禊にはせよ

歌の意味
七夕の星よ、天の川の河原で七度繰り返して、後の六月の晦日をこそ禊の日としなさい。
鑑賞
巻第四 夏歌 216

詞書「六月二つありける年」
 六月が二度ある年なのだから、七夕の星は天の川の河原で七度繰り返し、後の晦日を禊の日とせよと詠んだ歌である。閏六月のために七夕の逢瀬が遅れることを踏まえ、禊を後の晦日にするよう七夕に呼びかけている。
 詞書によれば、閏六月のあった年に詠んだものである。夏歌の巻末に置かれ、六月の晦日の禊によって夏の終わりを告げるとともに、秋の七夕を予感させている。
 作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。原文の作者表記は「よみ人も」とあるが、ここでは「よみ人しらず」として扱う。

 初句「七夕は」は、七夕の星、すなわち織女と牽牛を示す。巻頭の第百四十七首が衣更えで夏の始まりを告げたのに対し、巻末の本歌は禊で夏の終わりを告げ、巻頭と巻末が呼応している。
 二句「天の河原を」は、天の川の河原を、の意で、本巻の第二百十首の「天の河」を受けている。
 三句「七かへり」は、七度繰り返して、の意で、河原で繰り返し禊をすることを表している。
 四句「後のみそかを」は、後の晦日を、の意で、閏六月の晦日を指している。
 結句「禊にはせよ」は、禊の日としなさい、の意で、命令形で七夕に呼びかけている。前歌の第二百十五首の夏祓えを受け、禊で巻を閉じている。

みそか:月の最後の日、晦日
ななかへり:七度繰り返すこと
みそぎ:川などで身を清め、罪やけがれを流すこと
作者
よみ人しらず
出典
後撰和歌集
前の歌
賀茂河の水底澄みて照る月を 行きて見むとや夏祓へする
次の歌
にはかにも風の涼しくなりぬるか 秋立つ日とはむべも言ひけり