露分けし袂干す間もなきものを
など秋風のまだき吹くらん
- 歌の意味
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露を分けて濡れた袂を干す間もないのに、どうして秋風がもう吹くのだろう。
- 鑑賞
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巻第五 秋歌上 222
詞書「題しらず」
露を分けて濡れた袂も乾かないうちに、どうして秋風がもう吹くのだろうと詠んだ歌である。夏の野の露がまだ乾かないうちに秋が来てしまったことへの戸惑いを表している。袂の露には涙の意も重ねられている。
作者の大江千里は大江音人の子で、宇多天皇の時代に活躍した歌人である。漢詩の句を題として和歌を詠んだ句題和歌を宇多天皇に献じたことで知られ、小倉百人一首には「月見れば千々に物こそ悲しけれ」の歌が採られている。
初句「露分けし」は、露を分けて進んだ、の意で、「し」は過去の助動詞「き」の連体形である。
二句「袂干す間も」は、袂を干す間も、の意で、露に濡れた袂を示している。
三句「なきものを」の「ものを」は逆接の接続助詞で、ないのに、の意である。
四句「など秋風の」の「など」は疑問の副詞で、どうして秋風が、の意である。本巻ではこの前後に秋風を詠む歌が続いている。
結句「まだき吹くらん」の「まだき」は、早くも、もう、の意、「らん」は原因を推量する助動詞で、もう吹いているのだろう、の意である。
たもと:袖、特に袖の下の袋状の部分
つゆわく:草葉の露を分けて野を進む
- 作者
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大江千里
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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秋風のうち吹きそむる夕暮れは そらに心ぞわびしかりける
- 次の歌
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秋萩を色どる風の吹きぬれば 人の心も疑はれけり