天の河遠き渡りはなけれども
君が舟出は年にこそ待て
- 歌の意味
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天の川には遠い渡し場があるわけではないけれども、あなたの舟出は一年に一度だけ待つのだ。
- 鑑賞
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巻第五 秋歌上 239
詞書「七夕を詠める」
天の川は遠い渡しではないのに、あなたの舟出は年に一度しか待てないと、織女の立場で詠んだ歌である。距離は近いのに逢えるのは年に一度という、七夕の恋の嘆きを表している。
本巻の第二百三十九首から第二百四十七首までは、詞書「七夕を詠める」のもとに九首の七夕の歌が並び、天の川を隔てた織女と彦星の逢瀬をさまざまな面から詠んでいる。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「天の河」は、天の川、の意で、一連の九首のうち、初句に天の川を置く歌が多くを占めている。
二句「遠き渡りは」は、遠い渡し場は、の意である。
三句「なけれども」は、ないけれども、の意で、逆接の確定条件を表す。
四句「君が舟出は」は、あなたの舟出は、の意で、彦星が舟で天の川を渡ってくることを示す。
結句「年にこそ待て」は、年に一度だけ待つのだ、の意で、係助詞「こそ」と已然形「待て」が係り結びをなしている。
ふなで:舟が港を出ること、舟出
わたり:川の渡し場
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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織女の天の門渡る今宵さへ 遠方人のつれなかるらむ
- 次の歌
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天の河岩越す波の立ち居つつ 秋の七日の今日をしぞ待つ