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秋風の吹けばさすがにわびしきは
世のことわりと思ふものから

歌の意味
秋風が吹くと、やはりわびしく感じられるのは、秋が来るのは世の道理だと思っているのに。
鑑賞
巻第五 秋歌上 250

詞書「思ふこと侍りて」
 秋風が吹くと、それが世の道理だとわかっていても、やはりわびしく感じられると詠んだ歌である。秋が来ることも人の心が移ろうことも世の道理と知りながら、なお抑えきれない寂しさを表している。
 詞書によれば、思い悩むことがあって詠んだものである。七夕の歌の一連が終わり、本歌から再び秋風の歌に戻っている。
 作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。

 初句「秋風の」は、秋風が、の意で、本巻の第二百二十一首など巻頭近くの秋風の歌に通じている。「秋」には「飽き」の響きがある。
 二句「吹けばさすがに」の「さすがに」は、そうはいってもやはり、の意である。
 三句「わびしきは」は、わびしいのは、の意である。
 四句「世のことわりと」は、世の道理だと、の意で、季節の移り変わりや人の心の移ろいを示す。
 結句「思ふものから」の「ものから」は逆接の接続助詞で、思っているのに、の意である。本巻の第二百二十六首と同じ結句であり、上の句と倒置の関係にある。

ことわり:道理、筋道
作者
よみ人しらず
出典
後撰和歌集
前の歌
朝戸開けてながめやすらん七夕は 飽かぬ別れの空を恋ひつつ
次の歌
松虫の初声誘ふ秋風は おとは山より吹きそめにけり