秋風の吹きしく松は山ながら
波立ち返る音ぞ聞こゆる
- 歌の意味
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秋風がしきりに吹く松は、山にありながら、波が寄せては返す音が聞こえることだ。
- 鑑賞
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巻第五 秋歌上 264
詞書「題しらず」
秋風がしきりに吹く松は、山にありながら、波が寄せては返す音が聞こえると詠んだ歌である。松を吹き渡る風の音を、海の波の音に聞きなしている。
次歌の第二百六十五首は、松に吹く風の音を琴の調べに聞きなしており、二首は松風の音を主題に並べられている。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「秋風の」は、秋風が、の意である。
二句「吹きしく松は」の「吹きしく」は、しきりに吹く、の意で、本巻の第二百六十一首の「吹きしけば」と同じ語である。
三句「山ながら」は、山にありながら、の意で、山にある松と、海の波との対比を示している。
四句「波立ち返る」は、波が寄せては返す、の意で、松風の音を波の音に見立てている。
結句「音ぞ聞こゆる」は、音が聞こえることだ、の意で、係助詞「ぞ」と連体形「聞こゆる」が係り結びをなす。次歌の第二百六十五首は同じ松風の音を琴の調べと聞いている。
ふきしく:しきりに吹く、吹き続ける
たちかへる:波が寄せては返す
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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風寒み鳴く秋虫の涙こそ 草葉色どる露と置くらめ
- 次の歌
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松のねに風の調べをまかせては 竜田姫こそ秋は弾くらし