浦近く立つ秋霧は藻塩焼く
煙とのみぞ見えわたりける
- 歌の意味
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浦の近くに立つ秋霧は、藻塩を焼く煙とばかり、一面に見えることだ。
- 鑑賞
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巻第六 秋歌中 273
詞書「寛平御時后の宮の歌合に」
浦の近くに立つ秋霧が、海辺で藻塩を焼く煙とばかり見えると詠んだ歌である。海辺の霧を、塩を作るために藻を焼く煙に見立て、浜辺の秋の情景を描いている。
詞書によれば、宇多天皇の寛平の時代に、母后班子女王のもとで催された歌合、いわゆる寛平御時后宮歌合で詠まれたものである。本巻巻頭の第二百七十一首の山の秋霧に対し、本歌は海辺の秋霧を詠んでいる。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「浦近く」は、浦の近くに、の意で、海辺の景であることを示す。
二句「立つ秋霧は」は、立ちこめる秋霧は、の意で、本巻巻頭の第二百七十一首の「秋霧の立ちぬる」を受けている。
三句「藻塩焼く」は、海藻に海水を注いで焼き、塩を作ることをいう。
四句「煙とのみぞ」は、煙とばかり、の意で、「ぞ」は係助詞である。霧を煙に見立てている。
結句「見えわたりける」は、一面に見えることだ、の意で、四句の「ぞ」と連体形「ける」が係り結びをなす。本巻巻頭の第二百七十一首と同じ結句である。
もしほやく:海藻に海水を注いで焼き、塩をとる
うら:海や湖が陸に入りこんだ所、海辺
きさいのみや:皇后や皇太后の御所、またその人
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
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花見にと出でにしものを秋の野の 霧に迷ひて今日は暮らしつ
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折るからにわが名は立ちぬ女郎花 いざ同じくは花々に見む