女郎花花の心のあだなれば
秋にのみこそ逢ひわたりけれ
- 歌の意味
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女郎花は、花の心が移り気なので、秋にだけ、人と逢い続けてきたのだ。
- 鑑賞
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巻第六 秋歌中 276
詞書は前の歌に続き「同じ御時の女郎花合に」
女郎花は花の心が移り気なので、秋にだけ逢い続けてきたのだと詠んだ歌である。一年のうち秋にしか咲かない女郎花を、心の移ろいやすい女になぞらえ、「秋」に「飽き」を響かせている。
本巻の第二百七十四首から第二百七十六首までは、同じ女郎花合の歌が三首並んでいる。本歌はその三首目である。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「女郎花」は、女郎花は、の意で、第二百七十四首からの三首はいずれも女郎花を初句や三句に置いている。
二句「花の心の」は、花の心が、の意で、女郎花を人になぞらえている。本巻の第三百四十三首も四句に「花の心の」を置き、同じく女郎花の心を詠んでいる。
三句「あだなれば」の「あだ」は、誠実でない、移り気である、の意で、「ば」は理由を表す。移り気なので、の意である。
四句「秋にのみこそ」の「こそ」は係助詞で、秋にだけ、の意を強めている。「秋」には「飽き」の響きがある。本巻の第三百四十四首も、秋のほかに逢う時のない女郎花を詠んでいる。
結句「逢ひわたりけれ」の「わたり」は、ずっと続ける意で、逢い続けてきたのだ、の意である。四句の「こそ」と已然形「けれ」が係り結びをなす。
あだ:誠実でないこと、移り気なこと
あひわたる:逢い続ける
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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秋の野の露に置かるる女郎花 払ふ人なみ濡れつつや経る
- 次の歌
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五月雨に濡れにし袖にいとどしく 露置き添ふる秋のわびしさ