おき明かす露の夜な夜な経にければ
まだき濡るとも思はざりけり
- 歌の意味
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起きて夜を明かし、露が置く夜々を重ねてきたので、早くも濡れるなどとは思わなかった。
- 鑑賞
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巻第六 秋歌中 283
詞書「又」
露が置くように、起きて夜を明かす夜々を重ねてきたので、早くも濡れるなどとは思っていなかったと詠んだ歌である。前歌の「まだき」という言葉を受け、自分の涙はすでに長い夜々を重ねたものだと応じている。
詞書の「又」は、前歌の返しを受けて作者がもう一度送ったことを示す。本巻の第二百八十一首から第二百八十四首までは、右大臣藤原師輔と大輔との贈答が四首続いている。
作者の「右大臣」は藤原師輔である。関白藤原忠平の次男で、後撰和歌集が撰ばれたころ右大臣であった。九条殿と呼ばれ、娘の安子は村上天皇の中宮となった。
初句「おき明かす」の「おき」は、露が「置く」意と、人が「起く」意を掛けた掛詞で、起きて夜を明かす、の意である。本巻の第二百九十首も三句に「おき明かす」を置いている。
二句「露の夜な夜な」は、露の置く夜ごとに、の意である。
三句「経にければ」の「に」は完了、「けれ」は過去の助動詞「けり」の已然形で、過ごしてきたので、の意である。
四句「まだき濡るとも」は、早くも濡れるとも、の意で、前歌の結句「まだき濡るらん」を受けている。
結句「思はざりけり」は、思わなかったことだ、の意で、「けり」は気づきの詠嘆を表す。
おく:露が「置く」意と、人が「起く」意を掛ける
- 作者
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藤原師輔
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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万代にかからん露を女郎花 何思ふとかまだき濡るらん
- 次の歌
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今ははや打ち解けぬべき白露の 心おくまで夜をや経にける