暮れ果てば月も待つべし女郎花
雨やめてとは思はざらなん
- 歌の意味
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すっかり日が暮れてしまったら、月の出を待つのもよかろう。だが女郎花のために、雨がやんでからなどとは思わないでほしい。
- 鑑賞
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巻第六 秋歌中 294
詞書「八月中の十日ばかりに雨のそぼ降りける日、女郎花掘りに藤原もろただを野辺に出だして、遅く帰りければつかはしける」
すっかり日が暮れたなら月の出を待つのもよいが、雨がやんでから帰ろうなどとは思わないでほしいと詠んだ歌である。女郎花を掘りに出したまま帰らない者に、早く戻るよう催促しつつ、女郎花に心を奪われているのかと戯れている。
詞書によれば、八月の中旬ごろ、雨がしとしとと降る日に、藤原もろただを女郎花を掘りに野辺へ出したところ、帰りが遅かったので送ったものである。
作者の「左大臣」は藤原実頼である。関白藤原忠平の長男で、後撰和歌集が撰ばれたころ左大臣であった。のちに関白太政大臣に至り、小野宮殿と呼ばれた。
初句「暮れ果てば」の「ば」は順接の仮定条件で、すっかり日が暮れたなら、の意である。
二句「月も待つべし」の「べし」は適当を表し、月の出も待つがよい、の意である。ここで句切れとなる。
三句「女郎花」は、女郎花よ、と呼びかけるとともに、女郎花に心ひかれて帰らない相手をからかっている。
四句「雨やめてとは」は、雨がやんでから、の意で、詞書のそぼ降る雨を受けている。
結句「思はざらなん」の「なん」は他に対する願望の終助詞で、思わないでほしい、の意である。前歌の結句「知らなん」と同じく、相手に願う形で結んでいる。
そぼふる:雨がしとしとと降る
なかのとをか:月の中旬
- 作者
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藤原実頼
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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白露のおくにあまたの声すれば 花の色々ありと知らなん
- 次の歌
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秋の田のかりほの宿のにほふまで 咲ける秋萩見れど飽かぬかも