衣手は寒くもあらねど月影を
たまらぬ秋の雪とこそ見れ
- 歌の意味
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袖は寒くもないけれど、月の光を、積もることのない秋の雪だと見ることだ。
- 鑑賞
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巻第六 秋歌中 328
詞書は前の歌に続き「月を見て」
袖は寒くもないのに、地に降りそそぐ月の光を、積もることのない秋の雪と見ると詠んだ歌である。白く照らす月光を雪に見立てながら、寒くないことと積もらないことで、本物の雪との違いを示している。
本巻の第三百二十七首から第三百三十四首までは、詞書「月を見て」のもとに歌が八首並んでいる。
作者の「つらゆき」は紀貫之である。紀望行の子で、古今和歌集の撰者の中心となり、仮名序を書いた。土佐守などを務め、土佐日記の作者としても知られる。三十六歌仙の一人である。
初句「衣手は」は、袖は、の意である。本巻の第三百二首も「わが衣手は」と袖を詠んでいる。
二句「寒くもあらねど」の「ど」は逆接の確定条件で、寒くもないけれど、の意である。
三句「月影を」は、月の光を、の意である。
四句「たまらぬ秋の」は、積もることのない秋の、の意で、「たまる」は雪が積もる意である。
結句「雪とこそ見れ」は、雪と見ることだ、の意で、係助詞「こそ」と已然形「見れ」が係り結びをなしている。
ころもで:袖
つきかげ:月の光
たまる:積もる、とどまる
- 作者
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紀貫之
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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空遠み秋やよくらん久方の 月の桂の色も変はらぬ
- 次の歌
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天の河しがらみかけてとどめなん 飽かず流るる月やよどむと