女郎花匂へる秋の武蔵野は
常よりもなほむつましきかな
- 歌の意味
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女郎花が美しく咲き匂っている秋の武蔵野は、いつもよりもいっそう親しく慕わしいことだ。
- 鑑賞
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巻第六 秋歌中 337
詞書「延喜御時、秋歌召しければ奉りける」
女郎花が美しく咲いている秋の武蔵野は、いつもよりもいっそう親しく慕わしく感じられると詠んだ歌である。女性になぞらえられる女郎花が咲くことで、広い武蔵野がいっそう身近に思われる心を表している。
詞書によれば、醍醐天皇の延喜の時代に、帝が秋の歌を求めたので献上したものである。本巻巻頭の第二百七十一首とほぼ同じ詞書である。古今和歌集の「紫のひともとゆゑに武蔵野の草はみながらあはれとぞ見る」は、紫草ひと株のために武蔵野の草すべてがいとしく見えると詠み、武蔵野をゆかりの地とする先例となっている。
作者は紀貫之である。紀望行の子で、古今和歌集の撰者の中心となり、仮名序を書いた。土佐守などを務め、土佐日記の作者としても知られる。三十六歌仙の一人である。
初句「女郎花」は、女郎花、の意で、本巻ではこの歌から再び女郎花の歌が続いていく。
二句「匂へる秋の」の「匂ふ」は色美しく咲く意で、「る」は存続の助動詞「り」の連体形である。
三句「武蔵野は」は、武蔵国の広大な野で、古今和歌集以来、ゆかりの草の生える地として詠まれる。
四句「常よりもなほ」は、いつもよりもいっそう、の意である。
結句「むつましきかな」の「むつまし」は、親しく慕わしい、の意で、「かな」は詠嘆の終助詞である。
にほふ:色が美しく照り映える
むさしの:武蔵国の広大な野、ゆかりの草の生える地として詠まれる
- 作者
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紀貫之
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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秋風にいとど更けゆく月影を 立ちな隠しそ天の河霧
- 次の歌
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秋霧の晴るるはうれし女郎花 立ち寄る人やあらんと思へば