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女郎花草むらごとに群れ立つは
誰松虫の声に迷ふぞ

歌の意味
女郎花が草むらごとに群れ立っているのは、誰を待つという松虫の声に、迷い出てきたのか。
鑑賞
巻第六 秋歌中 339

詞書「題しらず」
 女郎花があちこちの草むらに群れ立っているのは、誰を待つという松虫の声に誘われて迷い出たのかと詠んだ歌である。女郎花を女に、松虫の声を人を待つ声になぞらえ、秋の野の花と虫とを恋に見立てている。
 本巻の第三百三十九首から第三百四十一首までは、よみ人しらずの女郎花の歌が三首並んでいる。
 作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。原文の作者表記は「よみ人も」とあるが、ここでは「よみ人しらず」として扱う。

 初句「女郎花」は、女郎花、の意で、女性になぞらえられている。
 二句「草むらごとに」は、草むらのあちこちに、の意である。
 三句「群れ立つは」は、群がって立っているのは、の意である。
 四句「誰松虫の」は、誰を待つ松虫の、の意で、「松」に「待つ」を掛けている。巻第五の第二百五十九首も「誰松虫ぞ」と同じ趣向を用い、本巻の第三百四十六首も女郎花と松虫を取り合わせている。
 結句「声に迷ふぞ」の「ぞ」は、疑問の語「誰」を受けて問いかける終助詞で、声に迷っているのか、の意である。

まつむし:秋に鳴く虫、ここでは「松」に「待つ」を掛ける
くさむら:草が群がって茂っている所
作者
よみ人しらず
出典
後撰和歌集
前の歌
秋霧の晴るるはうれし女郎花 立ち寄る人やあらんと思へば
次の歌
女郎花昼見てましを秋の夜の 月の光は雲隠れつつ