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見るごとに秋にもなるかな竜田姫
紅葉染むとや山も着るらん

歌の意味
見るたびに秋らしさが深まっていくことだ。竜田姫が紅葉を染めるというので、山もその衣を着ているのだろうか。
鑑賞
巻第七 秋歌下 378

詞書「題しらず」
 見るたびに秋が深まっていくことだ、秋の女神の竜田姫が紅葉を染めるというので、山もその染めた衣を着ているのだろうかと詠んだ歌である。紅葉する山を、竜田姫の染めた衣をまとう姿に見立てている。
 前の二首が竜田山の紅葉を詠んだのを受け、竜田山の名をもつ秋の女神を登場させている。
 作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。

 初句「見るごとに」は、見るたびに、の意である。
 二句「秋にもなるかな」は、秋らしくなっていくことだ、の意で、字余りである。「かな」は詠嘆の終助詞で、ここで句切れとなる。
 三句「竜田姫」は、秋をつかさどり、木々の葉を染めるとされる女神である。竜田山を神格化したものとされる。
 四句「紅葉染むとや」の「や」は疑問の係助詞で、紅葉を染めるというので、の意である。
 結句「山も着るらん」の「らん」は推量の助動詞で、四句の「や」と係り結びをなし、山もその衣を着ているのだろうか、の意である。

たつたひめ:秋をつかさどり、木々の葉を染めるとされる女神
作者
よみ人しらず
出典
後撰和歌集
前の歌
雁鳴きて寒き朝の露ならし 竜田の山をもみだすものは
次の歌
梓弓いるさの山は秋霧の 当たるごとにや色まさるらむ