何に菊色染めかへしにほふらん
花もてはやす君も来なくに
- 歌の意味
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何のために菊は色を染めかえて美しく咲いているのだろう。花をほめそやしてくれるあなたも来ないのに。
- 鑑賞
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巻第七 秋歌下 400
詞書「男の久しうまで来ざりければ」
花をほめそやしてくれるあなたも来ないのに、何のために菊は色を染めかえて美しく咲いているのだろうと詠んだ歌である。訪れのない恋人を待つさびしさを、見る人もなく美しく咲く菊に託している。
詞書によれば、通ってきていた男が長い間訪れなかったので詠んだものである。霜にあって色の変わった菊は「移ろい菊」として賞美され、その色の変化に男の心変わりも響いている。本巻の第三百九十七首から続く菊の歌の締めくくりである。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。原文の作者表記は「よみ人も」とあるが、ここでは「よみ人しらず」として扱う。
初句「何に菊」は、何のために菊は、の意である。
二句「色染めかへし」は、色を染めかえて、の意で、霜にあって白から紫に色の変わる菊を示している。
三句「にほふらん」の「にほふ」は美しく咲き映える意、「らん」は原因を推量する助動詞で、美しく咲いているのだろう、の意である。ここで句切れとなる。
四句「花もてはやす」の「もてはやす」は、ほめそやす、の意である。
結句「君も来なくに」は、あなたも来ないのに、の意で、三句と倒置の関係にあり、待つ人の来ないさびしさを最後に示している。
もてはやす:ほめそやす、大切にもてなす
うつろひぎく:霜にあって色の変わった菊、賞美された
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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古里を別れて咲ける菊の花 旅ながらこそにほふべらなれ
- 次の歌
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紅葉葉の散りくる見れば長月の 有明の月の桂なるらし