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木の葉散る浦に浪立つ秋なれば
紅葉に花も咲きまがひけり

歌の意味
木の葉が散る浦に波が立つ秋なので、紅葉に、波の花までもが咲き入りまじっていることだ。
鑑賞
巻第七 秋歌下 418

詞書「題しらず」
 木の葉が散る浦に波が立つ秋なので、散り浮かぶ紅葉に、白い波の花までもが咲き入りまじっていると詠んだ歌である。浦に浮かぶ紅葉の赤と、波頭の白を、紅葉と花が入りまじって咲くさまに見立てている。
 前歌が海の底の紅葉を想像したのに対し、本歌は海辺の浦に浮かぶ紅葉を詠んでいる。
 作者の藤原興風は藤原道成の子で、相模掾などを務めた。管弦にも優れ、三十六歌仙の一人である。小倉百人一首には「誰をかも知る人にせむ高砂の」の歌が採られている。

 初句「木の葉散る」は、木の葉が散る、の意である。
 二句「浦に浪立つ」は、浦に波が立つ、の意である。
 三句「秋なれば」は、秋なので、の意である。
 四句「紅葉に花も」の「花」は、白い波頭を花に見立てた「波の花」である。
 結句「咲きまがひけり」の「まがふ」は、入りまじって見分けがつかなくなる意で、咲き入りまじっていることだ、の意である。

まがふ:入りまじって見分けがつかなくなる
うら:海や湖が陸に入り込んだ所
作者
藤原興風
出典
後撰和歌集
前の歌
浪分けて見るよしもがなわたつみの 底のみるめも紅葉散るやと
次の歌
わたつみの神に手向くる山姫の 幣をぞ人は紅葉と言ひける