皆人に折られにけりと菊の花
君がためにぞ露は置きける
- 歌の意味
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誰にも彼にも折られてしまったと聞く菊の花だが、あなたのためにこそ、露は置いていたのだ。
- 鑑賞
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巻第七 秋歌下 436
詞書「男の花かづら結はんとて、菊ありと聞く所に乞ひにつかはしたりければ、花に加へてつかはしける」
誰にも彼にも折られてしまったと聞く菊の花だが、あなたのためにこそ露は置いて待っていたのだと詠んだ歌である。人々に折られたと噂される菊の花を、相手のためにとっておいたものとして贈っている。
詞書によれば、ある男が花かずらを作ろうとして、菊があると聞いた家に菊を求めてきたので、花に添えて贈ったものである。菊の露は長寿をもたらすとされ、相手の長寿を願う心も込められている。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。原文の作者表記は「よみ人も」とあるが、ここでは「よみ人しらず」として扱う。
初句「皆人に」は、誰にも彼にも、の意である。
二句「折られにけりと」は、折られてしまったと、の意である。
三句「菊の花」の「きく」は、二句から続いて「聞く」と、花の「菊」を掛けた掛詞である。折られてしまったと聞く菊の花、の意である。
四句「君がためにぞ」は、あなたのためにこそ、の意で、「ぞ」は係助詞である。
結句「露は置きける」は、露は置いていたのだ、の意で、四句の「ぞ」と連体形「ける」が係り結びをなしている。
きく:「聞く」と、花の「菊」を掛ける
はなかづら:花を連ねて髪飾りにしたもの
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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秋ごとに列を離れぬ雁がねは 春帰るとも帰らざらなん
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吹く風にまかする舟や秋の夜の 月の上より今日は漕ぐらん