初時雨降れば山べぞ思ほゆる
いづれの方かまづもみづらん
- 歌の意味
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初時雨が降ると、山のあたりのことが思われる。どの方角の山が、まず紅葉しているのだろうか。
- 鑑賞
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巻第八 冬歌 443
詞書「題しらず」
初時雨が降ると山のあたりが思われ、どの方角の山がまず紅葉しているのだろうかと詠んだ歌である。都にいて冬の訪れを告げる初時雨を聞き、まだ見ぬ山々の色づきを思いやる心を表している。
本巻の巻頭歌で、冬の到来を初時雨で告げている。巻第七の巻頭の第三百五十一首も晩秋の時雨を詠んでおり、秋歌と冬歌の巻頭がともに時雨で始まっている。巻末の第五百六首は年の暮れを詠んでおり、初時雨に始まった巻が年の終わりで閉じられている。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。原文の作者表記は「よみ人も」とあるが、ここでは「よみ人しらず」として扱う。
初句「初時雨」は、その冬に初めて降る時雨のことで、冬の到来を告げるものとされた。次歌も初句に「初時雨」を置いている。
二句「降れば山べぞ」の「ば」は、降るといつも、の意を表す接続助詞で、「ぞ」は強めの係助詞である。
三句「思ほゆる」は、自然と思われる、の意で、二句の「ぞ」を受けて連体形で結ぶ係り結びとなっている。ここで句切れとなる。
四句「いづれの方か」の「か」は疑問の係助詞で、どの方角の山が、の意である。
結句「まづもみづらん」の「らん」は現在推量の助動詞で、四句の「か」を受けて連体形で結び、まず紅葉しているのだろうか、の意である。
しぐれ:晩秋から初冬にかけて降ったりやんだりする雨
もみづ:草木の葉が赤や黄に色づく、紅葉する
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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いづ方に夜はなりぬらんおぼつかな 明けぬ限りは秋ぞと思はん
- 次の歌
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初時雨降るほどもなく佐保山の 梢あまねくうつろひにけり